2020年9月17日還元焼成、窯出ししました。

9月17日、彼岸花はまだ一本も顔を出していないですが、朝はすっかり秋です。やっと涼しくなって窯焚きも少し楽になってきました。今回の窯には展覧会に出品するお二人の生徒さんの作品が含まれていました。失敗は許されません。温度も還元の掛かり具合も良いようです。

今回窯だしした生徒さんの作品を掲載いたします。

【YTさんの作品】

紫月窯に入られ最初に作った作品です。初めての作陶。なかなか思った形にはならなかった様ですが、とても丁寧に作られています。色においてもしっかりご自分のイメージを持っています。鬼板をドロッピングで下絵付けし、土灰釉と白釉を半分ずつ掛けています。白釉に銅が作用したのでしょうか。少しピンクがかった色になりました。

【HMさんの作品】

まだ初めて一ヶ月ほどですが、土の性質をかなり理解されています。均一な厚みと全体を捉えたバランスの良い形になりました。赤二号土を使い土灰釉を掛けました。還元らしい発色です。

袋物を作っていただきました。土は広げるのは比較的易しいのですが絞るのは難しいものです。豊かな膨らみのある形になりました。この作品も赤土に土灰釉を掛けました。紫月窯にはオリジナルの土灰釉がたくさんあります。少しずつ透明感や色、テクスチャーなどが違います。

【YMさんの作品】

バランスの取れた使いやすそうな湯呑み。手作りの陶芸の作品は同じ物は一つもありません。形も色も少しずつ違います。陶芸の醍醐味です。赤土に紫月窯オリジナルの恵那山土灰釉を施釉しました。

抹茶茶碗としては少し小さいですが、自然な綺麗な形です。酸化第二鉄を使った黄瀬戸釉を還元焼成しました。酸化焼成とは随分違った緑色がかった茶色になりました。

初めての袋物。形を広げたり萎めたり自由にできるようになれば、手捻りでどのような物もできるようになります。この作品の自然な曲線は綺麗です。赤土に紫月窯オリジナルの土灰釉を掛けました。

【NOさんの作品】

袋物の一輪差し。白い土が使いたいと言うことで手捻りでは難しい半磁器を使いました。良い形。そして還元された天然土灰の淡いグリーンが綺麗です。

【ESさんの作品】

作者の染谷惠久子さんは横浜馬車道にあるART CONNECT YOKOHAMAで今月24日(木)まで個展を開かれています。ちょうど会期2日目に窯出ししたので会場に持って行きました。ヤツデの葉をモチーフにしたユニークな花器。天然の千倉石を使った紫月窯オリジナルの釉で仕上げました。

鳥の形の香合。さりげなく弁柄で彩色された絵付けが良いですね。貝殻灰とタルクを主原料にした乳濁釉を掛けました。

軍手を赤土の泥漿に浸し、乾いてから素焼きをします。そのあと土灰釉を掛けて焼きました。驚くほど軽い作品です。釉の重みで形が崩れると想像していましたが意外に形をそのまま止めています。

【YFさんの作品】

小さな袋物の一輪差し。手捻りとは思えないほど滑らかな作品です。白化粧土を塗り掛けし、紫月窯オリジネルの半ツヤの天然土灰釉で仕上げました。胎土の赤土と白化粧の還元のグリーンの色の違いが美しいです。

手捻りの最後の課題。急須、仕上がりました。いろいろなパーツを別々に作り最後に組み立てます。正確さが要求される難しい課題です。バランスが取れた美しい形です。恵那山土灰を主体に艶を抑えた釉で仕上げました。

【NKさんの作品】

手捻りの集大成、急須です。面取りをしたモダンなデザインです。この作品の釉もYFさんが使ったものと同じですが使った土の違いで全く表情が違います。土と釉の組み合わせはだいじなことです。

初めての電動轆轤。初心者コースの最後の課題です。初めてとは思えないほど整った形になりました。赤二号土にオリジナルの天然土灰釉を使いました。還元らしい灰の青磁色です。縁の釉を落として変化をつけています。なかなかです。

電動轆轤での削りは直接作品を手で触れないので厚みが分かり難く、削りすぎて穴を開けてしまったことは誰にもあると思います。怖がって厚く重たい作品になるより、思い切って薄く削るほうが勉強になると思います。

【STさんの作品】

初心者コース最後の電動轆轤の作品。大皿に挑戦しました。勢いの良い白化粧の刷毛塗りが施されています。赤土に天然土灰釉の還元の色も良いです。

約半年の初心者コースで一通りの陶芸の基本的なことを習得し、一般コースに移りました。もうすぐ秋刀魚の季節。板皿を作りました。白化粧土と基礎釉を調合したものを塗り掛けしました。マットな白です。胎土の赤土の色が出ている部分があるので再度重ね塗りすることを提案してみます。

【Mんさんの作品】

轆轤成型の大きめなお皿。縁に呉須で彩色されています。控えめな彩色が還元の淡い青磁色によく似合っていると思います。

夏茶碗のような器。艶系の恵那山土灰釉が涼しさを感じさせます。お菓子皿などいろいろな用途がありそうでう。安定した轆轤成型を続けています。

【AKさんの作品】

30センチ以上ある手捻りの大皿。9月28日から10月4日までみなとみらい駅構内の「サブウェイギャラリーM」の「第9回 横浜風の会展」に出品予定の作品です。大きなお皿は重力に耐えられず壊れてしまいがちです。手捻りの場合、下の部分を乾かし、口の部分は濡れた布を掛けて保存しながら作っていきます。前回の還元焼成で釉が乗らなかったスポットが何箇所もあり、加筆修正して再度還元焼成しました。本体は熱によって化学反応が終わっていますから、後で加筆した部分が同じ色になる様に焼くのは難しいです。還元の掛かり方、温度の微妙な違いによって発色の違いが出てしまうからです。今回は全く分からないほど加筆した部分が一体になりました。

【SYくんの作品】

電動轆轤で作るにはたいへん難しい透光性磁器土を使いました。形が崩れたものも敢えて作品に活かす感性が良いです。杉と檜を主体にしたオリジナル土灰釉の淡いみずいろがぴったり合っています。

こちらは一般的な白い陶土を使った電動轆轤成形の器です。電動轆轤で作った作品は冷たい感じになりやすいですが、この器は温かさがあります。

赤土を使った電動轆轤成形の器。前回還元焼成しましたが土と釉の相性が悪かったのか釉が寄ってしまいました。加筆修正して再度還元焼成しました。ほぼ気にならないほどになりました。この作品も半艶恵那山土灰釉です。

【IYさんの作品】

透光性磁器土を電動轆轤挽きした作品。いつも何か実験的な試みをされています。下の部分には濃度の高い酸化コバルトを入れた釉を使い、中には青いガラスの粉と小布施のぶどうの灰を使った釉を加えています。

下の部分に解い銅線を巻いて焼いてみましたが、溶けて下にくっついてしまいました。

【MUさんの作品】

電動轆轤で大皿を作っていて崩れてしまった作品。これもありかな。釉を掛けて焼きました。紫月窯は生徒さんの自発性をだいじにした教室です。

電動轆轤を使ったプレート。平らな作品はうまく乾燥させないと反ることが多いです。また特に赤土は耐火性が低いので焼成時に変形することもあります。

【MOMさんの作品】

電動轆轤挽きした磁器土を使った二つの器。大きめな作品です。垂直な形の作品も意外と難しいです。どうしても下の部分が厚くなりがちですが、この作品は上手く作られています。真っ白な磁器土に杉と檜の灰を主原料にした釉の還元はよく会うと思います。

磁器土を電動轆轤挽きした小さな一輪差し。呉須で濃淡をつけて彩色し、透明釉を掛けました。色の変化が豊かな可愛い作品です。

板作りの小さなお皿。ちょっと亀裂が入りました。板作りは簡単な様で反ったり割れたりしがちです。本焼成して現れるので厄介です。色はこれも半艶恵那山土灰釉。赤土の耐火性の低さから下の段に入れて焼きましたが、還元の発色は良いです。

頁岩を使った板作りの小皿にマンガンとコバルトを使った釉。色合いはとても素敵です。頁岩の耐火性の低さから最下段に入れましたが少し変形しました。後ろの縁にも釉がかかっており、ちいさな座布団の上に置いたのが原因だと思います。

【MKさんの作品】

赤二号土を使い手捻りで作ったコップ。手捻りですがさすが良く揃っています。釉は紫月窯のオリジナル羊歯灰釉です。酸化でも還元でも同じ表情を出してくれる白釉です。ちょっと長石単味の志野釉にも通じるテクスチャーになります。

薪窯で焼いた様な渋い色の手捻りで作った茶碗です。赤二号土に土灰釉還元です。

ワインの青い瓶を砕いたガラス片を入れ、透明釉を掛けて還元焼成しました。ポップな感覚の小皿になりました。

こちらは赤土を使い上の作品と同じ方法で作った少し大きめのお皿です。ガラス片の量が難しいです。

今年、ネズミ年もあと二ヶ月少々、世界中を襲ったコロナに明け暮れた年でした。

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